俵万智:史上最強の三十一文字

★4つ。

思えば「サラダ記念日」には驚いて、
短歌(みたいなもの)を作ってみたこともあったなあ…
そこから趣味になる、というまでには至らなかったけど。

最近また短歌に興味が出て来て、そこにこの大特集。
やっぱり原点かも、と思って読了。

収録されている数々のインタビューや評論を読んで、
そうか俵万智さんの短歌の特徴はその明るさ、
人生に対する肯定感にあるのか、と納得した。
淋しさや苦しさをも含み、
根本的に人生に対しすべてを前向きに受け入れる。

私はどちらかというと、根本に否定や苦しさや辛さがあり、
でも前向きな明るさを含む、というものが好き。
小説でも短歌でも。

似ているようで方向性が真逆。
そこが「俵万智さん大好き!」とはなりきらなかったところかも、と
サラダ記念日から長い時を経てようやく腑に落ちた。

久しぶりに読んだ俵さんの短歌は
切ない状況を詠っていてもどこか爽やかで、
それこそが俵さんの味わい。
「俵万智さん大好き!」ではないけれど、
これもなかなか心地いいなあ、と思う。




『俵万智:史上最強の三十一文字』
『サラダ記念日』から30年。
我が子、震災、恋…
今なお現代短歌のトップランナーである
俵万智の大特集。

参考:Amazon 内容紹介


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神様

★4つ。

9つの短編が入った川上弘美さんの『神様』。
そのお話はどれも、ちょっぴりヘンなものがごく普通に、
日常の延長として淡々と受け入れられている不思議世界、という感想。

川上弘美さんのほかの小説にも感じられる
この何でも静かに受け入れていく感じ、
それまで自分の周りにあるものとは少しちがっていても
自身の一部としてさりげなくしっかりと受け止める感じ、好きだ。

考えてみれば、私が本を読む理由は
そこにあるのかもしれない。
小説の中では現実と少しちがうことが起こって欲しい、
そしてそのことがまるで自分自身に
明日にも起こるような気分にさせて欲しい、と思っている。
それこそが私にとって本を読む醍醐味なのだ、と思う。

『神様』ではたとえば
くまとか、壺の中に住む女性とか、くっきりした形を持つ非日常が
日常のような顔をしてさりげなく生活に入ってくる。

うちの近所にも料理の上手なくまさんが
普通に暮らしているんじゃないか、という気がしてきて、
それがなんだかじんわりと心地いいのだ。

1番印象深いのは「離さない」。
とても静かで、相当怖い。
自分に同じことがあったら、危険と分かっていても抗えないだろう。
そしてちょっぴり、同じ出来事を味わってみたい、とも思ってしまう。
「春立つ」も気になる話。
年を取ったことでちがう関わり方ができる、ということは、
切ないようで、希望でもある。

最初の「神様」は近くに越してきたくまさんとの交流。
するっと入ってくる優しい非日常が心地よかったのに
最後の「草上の昼食」でまたするっと去ってしまって、かなり切ない。

川上弘美さん、『七夜物語』のラストがちょっと自分には悲しすぎて
しばらく読んでいなかったのだけど、
『神様』で感じたこの非日常感をもっともっと味わいたい。
ほかの作品も色々読みたい、と改めて思いました。




『神様』
不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。
心がぽかぽかとあたたまり、
なぜだか少し泣けてくる、
うららでせつない9つの物語。
ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

参考:「BOOK」データベース


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村上海賊の娘

★4つ。

本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞の
和田 竜さん『村上海賊の娘』
主人公は戦国の世に瀬戸内海を席巻した村上海賊家、
中でも村上家の名を世に知らしめた
村上武吉の娘、景(きょう)。

自分の腕に自信満々で
実際それだけ強くて乱暴者の姫様、
でも素直で飾らなくて、実はとってもロマンチスト…
というのが、物語の最初の頃の景の印象。

景の父親がそう思っていたように、最初の頃の景は
二十歳と言えどまだ子供、という感想。
しかし、戦国という厳しい時代の
どうにもならない体験を通して、彼女は成長する。

一度挫折して、諦めて、
それでも自分の譲れないものに気づき大切にしようと決める。
開き直って自分の道を貫く決意をした景は、凛として美しい。

残酷な時代に力いっぱい生きた景や、
周りの人々の潔さ。
家を守るため、ただそれだけのために命がけで戦う人々。
今となってはその家も時代の狭間に消えてしまい
彼らの願いは叶わなかったけれど、
信念を貫いて生き、死んでいった彼らを
憐れ、とか悲しい、とは思わない。
それは彼らが誰かの言いなりでなく
心から大切に思うもののため、
自分自身の信念や思いを守るために生きていたからなのだろう。

歩める道が様々にある現代に生きる自分は、
ぐらぐらと迷ってしまいがちで。
戦国の世に生まれたかった、
なんてことは思わないけれど、
彼らのただ一つ守り抜こうとする信念が、
道徳的な善悪は二の次に一本筋の通った生き方が、
眩しくて少しだけ羨ましくも感じてしまうのだ。




『村上海賊の娘 文庫 1-4セット』
戦国の世にその名を轟かせた村上海賊。
強勢を誇る当主の村上武吉、
その剛勇と荒々しさを引き継いだのは、
娘の景だった。
この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、
物語の幕が開く―。

参考:「BOOK」データベース

 

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白いしるし

★4つ。

バイトをしながら絵を描いている夏目。
その恋はいつでもまっすぐで激しい。
32歳になった彼女は、これまでの中でもとびきり激しい恋をする。
ほとんど狂気とイコールである恋を。

西加奈子さんの小説は何冊か読んでいる。
共通して、登場人物の性格が極端で
現実味には少々欠けるかもしれない、という印象。

けれど、彼らのどこかが、
自分やよく知っている人のある部分を思い切り強調したもののように思える。
ふだんは自分の目にすら触れないようにしている危険な部分を
まざまざと見せつけられているようで、
リアリティに欠けるように思える彼らにいつの間にか同化しそうになる。

『白いしるし』は夏目をはじめ、
登場人物が皆、狂気にも似た恋に囚われている。

痛々しくて哀しいけれど、同時に、人はなんて強いんだろう、とも思う。

狂気を自覚しながらもどこか自分を保ち、
たくましく生きようとする彼らが、私は好きだ。
彼らの弱さを飲み込んだ強さが、
そんな人々を見つめる西加奈子さんのまっすぐな視線が、私は好きだ。

自らの狂気飲み込み生きていく 傷つかずにはいられない恋 【感想短歌】



『白いしるし』

女32歳、独身。
誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、
恋を遠ざけていた夏目。
間島の絵を一目見た瞬間、
心は波立ち、持っていかれてしまう。
ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

参考:「BOOK」データベース



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12星座の恋物語

★4つ。

星座による運勢ってつい見ちゃう。
良ければ喜んで悪ければちぇって思って、そしてわりとすぐ忘れてしまう。

星座占いは自分にとってそういうもので、星座による性格診断って、
自分も周囲の人に関してもあんまりピンと来たことが無い。
『12星座の恋物語』を読んだのは
星座による性格占いに興味があったからではなく、
角田光代さんが12星座×男女=24人の性格が異なる人の物語を
描いていることが面白そうだったからです。

予想通り、短い物語の中で
私ならこの状況でこうはしないなあ、とか、
さっきの物語の主人公とはだいぶちがうな、とか、
性格や行動のちがいがくっきり描かれていて面白かった、という感想。
星座とはそんなに関係ないよなー、と思っていたら角田さん自身、
あとがきでそんなことを書いていた。

 …各星座ごとの登場人物が出てきますが、
 …決めつけるつもりはまったくありません。
 私が書きたかったのはむしろ、人の差異でした。
 …自分の思考回路や行動原理がいつも正しいわけではなく、
 まったく異なる人もいる。
 また、頭では正しいことがわかっているのに、 
 いつもいつも正しいことばかりできるはずもない。
 という、そのことを、この短い小説で書けたらいいなあと思っていました。

よくこんなにちがう人たちをこれだけのリアリティを持って
書き分けられるなあ、と思う。
角田さんの小説に感じる圧倒的なリアリティが
24の短編の中にしっかりありました。

そして大切なことは、ちがいながらも、
やっぱり根底では同じ人間であって、同じく愛すべき存在である、ということ。
人のちがいを認め、愛する、人に対する愛情が感じられる小説が私は好きで、
角田光代さんの小説ではそれを感じることができる。
私が好きな小説のポイントは結局のところ、
そこなんじゃないかなあ…と改めて思いました。

そして「ピンと来ない」と言い切ってしまったけれど
鏡リュウジさんの各星座の解説も物語として面白かった。
当たってる当たってないは別にして、
なるほど星の世界ではこの星座は
こういう物語を持ったこういう性質のものと解釈するのか、
と新鮮に面白く読めました。
鏡さんの文章は読みやすく、なるほどなるほど、と納得しつつ
物語として楽しく読めたし。
星座占いに興味がある人、無い人、どちらでも楽しめる本です。




『12星座の恋物語』
人気作家と人気占星術研究家のコラボ。
12星座の女と男それぞれに
星が与えたメッセージを、
ラブストーリー&納得の
ホロスコープガイドで説く星座小説集。

参考:「BOOK」データベース

 

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火花

★4つ。

話題の『火花』、繊細で真摯で、どこか煌めきがある小説、という感想。
理屈っぽくてよく入って来ないところはあるのだけれど、
それは「この小説が」というよりも
「この主人公が」理屈っぽい、という印象。
主人公の徳永、こんなに難しいことを頭の中でこね回していたら苦しいだろうに…
と思うけど、彼にとってはそれが自然なことなのだろう。

真剣に命がけで何かを追及する、
ということがどれだけ茨の道であるか。
自分が思い描いていたことが実力不足で出来ない、伝えたいことが世間に伝わらない、
ということがどれだけ苦しいか。
苦しくてみっともなくて、それでもそうして生きるしかなくて、
崖っぷちギリギリを分かっていながら歩くしかなくて。

そうする中で、崖から落ちてしまう人もいる。
徳永が慕う先輩、神谷は、落ちてしまった。
自分がいいと思うことを世間に伝える術が分からず、
どうすればうまく生きられるか分からず、
より駄目な方向へ、
より世間から疎まれる方向へ、進んでしまった。

そんな先輩を呆れ、恐れ、それでもやっぱり慕っている徳永。
彼らの生きざまは器用じゃないし、成功者とはとても言えない。
けれど必死に生きている姿は身につまされるし、胸を打つ。

決して長くは続かない、けれど、魂を燃やして輝きを放つ彼ら、
徳永と神谷、それぞれの相方、そしてたくさんの芸人たち。
彼らの姿こそが「火花」なのだろう。

過剰評価、という話もある。けれど、わざわざ
「色眼鏡を排除して」読む必要も無い、という気がする。
芸人又吉直樹が書いた、というところも含めての物語なのだから。
絶賛し過ぎるのも、けなし過ぎるのも、なんだかピンと来ない。

自分は、又吉さんに好感を持っているから
面白ければいい、という気持ちは確かにあった。
それを含めても、読んだ後に胸に残る切ない思いがあることは確かだ。
 



『火花』
お笑い芸人2人。
奇想の天才だが
芸も人生もなかなかうまくいかない神谷、
彼を師と慕いつつも別の道を歩む徳永。
神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。
彼らの人生はどう変転していくのか。
「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。

参考:「BOOK」データベース


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ベーグル焼いたり、本読んだり。

備忘録といいますか、
読後に自分の中に湧く気持ちを言葉にして、
ついでにブログにしてみました。

ベーグル焼いて売るのがお仕事。

るん
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