★3つ。

築30年のみつばコーポラスの裏階段は、
人が滅多に通らないさびれた場所。
そこで出会う“妖怪”たちは怖くはないけど、
ちょっと困った事態を引き起こす。
“妖怪”に出会った子供たちのお話が3編。

妖怪たちはちょっと困り者だけど、
お茶目でなんだかかわいらしい。
それに出会った子供たちと大人たちが対照的。
初めは驚いても、妖怪も困った事態も受け入れて
1番いい対処法を考える子供たちはたくましい。
それに比べて、大人って…。
事態をなかなか受け入れられない頭の固さと
オタオタっぷりに思わず笑ってしまうけど、
きっと自分もこんな風にかっこ悪いだろうな、
とオトナの一員としては気恥ずかしくもなってしまう。

摩訶不思議な生き物たち、
こんな妖怪なら出会ってもきっと楽しい。
けれど、全体的にはちょっぴり物足りない感じが残ります。
同じく佐藤多佳子さんの児童書
『イグアナくんのおじゃまな毎日』
大人でも楽しめてじーんと来たのですが、
それと比べるとちょっと印象が薄いのは短編だからかな。
みつばコーポラスのほかの住人、
口うるさくて「おばば」と呼ばれてしまってる有沢さんとか、
もうちょっと人柄が分かるといい味が出そうな雰囲気なのに。

もう少しだけ描いてくれたら、きっともっと面白かった。
けれど、ほんわかして心穏やかに楽しめるところは素敵です。



『ごきげんな裏階段』
築30年のみつばコーポラスの裏階段は、
さびれてボロきたないけど、とびっきりの場所。
学も一樹もナナも、そこで、
ちょっとふしぎでちょっとこまった
生き物たちと遭遇する。
謎めいた味わいの3つのお話を収録。

参考:「BOOK」データベース

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★4つ。

嫌で嫌でたまらないから、
イグアナを「ヤダモン」と名付けた樹里。
世話が面倒で捨ててしまおうと思ったり、
爪が刺さって「いってえなっ!」と叫んだり。
けっして「いい子」じゃない樹里がすごおくリアルで、むしろ好き。
けっこう複雑な小学生の人間関係もリアル。
同級生の日高くん、いい味出してます。

ヤダモンのせいで
喧嘩ばかりしていた樹里と両親の気持ちが
だんだん変わっていく様子がとっても自然で、微笑ましい。

ペットを飼う人間の身勝手さと、それでも愛しく思う気持ち。
きれいごとばかりじゃないけど、
それでも捨てたモンじゃない人間の姿が
イグアナを通して描かれていてほのぼのとした気持ちになれます。
「小学校高学年向け」となっているけど大人が読んでもじーんとくる。

ゆったりとした時間の中で生きているグリーンイグアナ。
ヤダモンと一緒に寝たら見られるという緑の夢、
すごく気持ちよさそうで見てみたい。
爬虫類はニガテなんだけど、
もしかしてもしかすると実物はかわいいのかも、
って気がほんのちょっとしてます。



『イグアナくんのおじゃまな毎日』
11才になった樹里。
欲しくもないのにもらってしまった
誕生日プレゼントは、
「生きている恐竜」イグアナ。
25度以上40度以下の温度で飼わねばならず、
成長すると、2mの大トカゲになるという…。

参考:「BOOK」データベース

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★4つ。

子供の頃から鍛えられた筋金入りのスリと、
ギャンブル狂で家賃も払えない女装の占い師。
状況だけ考えると反社会的な2人だけど
悩んだり苦しんだりしている心情が
細やかに描かれていて、肩入れしたくなるのです。

周囲の人々もみんなが深みを持っていてそれぞれ気になる。
占い師の元に度々訪れる1人の少女の悩みはなんなのか、
救ってあげることはできないものか、
と占い師と一緒に心配になってしまう。
スリを心から心配する家族代わりの人たちや
一本筋が通っている古き良き時代の“スリ一家”の人情が
物語全体を暖かいものにしています。

その一方、起こる事件の展開にハラハラ。
前半のどこか暖かい雰囲気から後半は急展開するので
うわ、この人たちにこんなことが起こるなんて…!と軽く衝撃を受け、
事件が早く円満に解決してくれないかと息を詰めて読みました。

オススメ度4つなのは、ラストでもう少し語って欲しかったから。
事件に関わった人々がどうなったか、
大体は分かるけどそれぞれの気持ちも知りたかったな。
それだけ登場人物に感情移入してしまっていたのかもしれませぬ。
 
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出所したばかりのスリは家に戻れなかった。
オケラになった占い師は途方にくれていた。
何かに導かれるように
ひとつ屋根の下で暮らし始めた2人は、
身も心も引き裂く嵐に巻き込まれていた。

参考:「MARC」データベース『神様がくれた指』