★4つ。

高山なおみさんの初めてのエッセイ集、『諸国空想料理店』
まだ“エッセイスト”という肩書きの無い、
レストランKuuKuuのシェフである高山なおみさんが
自由に書いた雑記なんだけど、
本当に面白くて人の心を惹き付ける文章。
エッセイストとして人気が出るのもそりゃ当然だ、という感想。

地球上の様々な国にある様々な料理。
日本で完全に同じものを作ることはできないけれど、
想像を働かせて「**風」料理を作ったり食べたりすることで
その国を旅することができる、それが「諸国空想料理」。
基本的に日々のご飯は
土地に根付いたものが1番美味しいと思うけど、
料理には人の想像力を刺激する楽しさもある、と気づかされました。
綿密なレシピや取り寄せた素材を使わなくてもいいじゃないか、
という力が抜けた姿勢も好ましい。

「諸国空想料理」についての話も楽しいけれど、
日々料理と向き合う中でのエピソードも楽しい。
KuuKuuの女性スタッフの1人は、どんなに忙しくても
まな板の上はいつもスッキリしていて音を立てずに料理する。
その姿はとても綺麗で憧れるけれど、
「調理台の上もまな板の上も頭の中もいつも混乱している。
だから動きも大雑把でムラがある。」
という高山なおみさんに好感と共感を覚えてしまいます。

食事のマナーについてのエピソードも印象的。
和食やコース料理などにきちんとしたマナーがあるのは
美味しく食べるため、でも毎日だと疲れてしまう。

「私の料理を食べる人は、みんな背中を丸め、
口を突き出し、汁をすすり、手づかみでむしゃぶり喰う。
まことに申し訳ないがそれが
“いちばんおいしく食べられるかたち”なのですスイマセン。」
楽しい人と楽しい場所でくつろいで食べる美味しさが
高山なおみさんのエッセイには感じられます。

食に愛情を持っていること、きっちりとし過ぎてないこと、
そのきっちりしてなさを飾らずあっけらかんと書く素朴さ。
高山なおみさんの文章の魅力がすでにいっぱい詰まっています。
シェフとして現役の姿は現在より力強くあるようで、
ゆったりとした今とはちょっとちがった魅力も感じられました。



『諸国空想料理店』
旅先で出会った料理を日本で作れば
一気にその地へ旅できる。
心身の疲れも切ない恋も、
温かい料理がほぐしてくれる。
KuuKuuのオーナーだった南椌椌さんによる
シェフ高山なおみ誕生秘話も収録された
料理人・高山なおみの処女エッセイ集。 

参考:「BOOK」/「MARC」データベース

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★4つ。

『日々ごはん〈1〉』に続き、料理家の高山なおみさんの本。
高山なおみさんが、好きな人に
ご飯を作ってあげながら話をしています。
ミュージシャンのハナレグミが登場してちょっとびっくり。

『たべる しゃべる』
写真は写真、文章は文章、とまとまっていて
ちょっと見づらく感じたけれど、
長野陽一さんの写真を大切にしたこのスタイルがよいのかも。
本の中に写真集があるようだな、という感想。

美味しそうな料理がたくさんあるのに、
実際に食べているシーンがあまり語られていないのが残念…
と最初は思いました。
だけど読み進めるうちに、この本の主役は料理ではない、
ということに思い当たりました。
主役は料理でも高山なおみさんでもなく、
高山なおみさんがご飯を作ってあげた人々。
対談集ではなく、高山なおみさんの視点で語られていることで
その人たちの魅力や個性が浮き彫りになり、深い印象が残ります。

その中で1人をあげるなら、『日々ごはん』に度々登場する
高山なおみさんのダンナ様、スイセイさん。
写真で、変わった髪形の人がいるなあ、と思っていたら
スイセイさんだったのがびっくりで思わず笑ってしまいました。
発明家だったんだ!広島訛りだったんだ!という事実も新鮮。
「みい(=高山なおみさん)なんかより
もっと料理が上手な人は、ごろごろおるじゃろう?」
奥さんが人気料理家であるということを
実にさらっと受け止めているスイセイさん。
ご夫婦ともに力が抜けた自然体な人なんだなあ。

お料理上手で家族にも喜ばれて…というのが、
私が今までイメージしていた華やかな料理研究家の姿。
だけど高山なおみさんは、ダンナ様に
「家族としては、奥さんが料理家っていうのは、けっこう迷惑じゃ」
と言われている、とさらっと言ってしまうし、
料理を作りに行っても、その人の作ったご飯を食べたくなって
作ってもらっちゃう(もちろん、高山なおみさんも作ってたけど)。
肩に力を入れない暮らしと魅力的な人々、
そこにそっと寄り添っている季節感を大切にした料理。
生活に欠かせない「食べる」ということを
飾り過ぎず、当たり前に大事にしている感覚がありました。
“料理研究家”というよりは“美味しいものを愛する人”。
レシピそのものも美味しそうだけど、
高山なおみさん自身に惹かれます。

担当編集者さんいわく、 『たべるしゃべる』は
「食べるときのシチュエーションまで含めたレシピ本。」
魅力的な人々と料理がある風景が
じっくりと素直な言葉で描かれている。
そんな風景の一部になりたくなって、
高山なおみさんが「料理を作ってあげたい」と
思う人になりたいな、と思いました。



『たべる しゃべる』
素材の持ち味を引き出すレシピと
食欲をそそる文章で人気の料理家、
高山なおみさんが身近な人々のもとに
ごはんを作りに行きました。
相手の家や仕事場にて台所を借り、
食べたそうなものをみつくろう。
料理をほおばりながら、
唇からこぼれた様々な物語。
美味しい料理と人々の魅力が詰まっています。

参考:「MARC」データベース/Amazon内容紹介

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★5つ。

最近、書いた人の素顔がちょっと見えるような
日記式の小説やエッセイに惹かれます。
yom yom(ヨムヨム) 2009年10月号に載っていて良かった
料理研究家の高山なおみさんの日記、読んでみました。
『日々ごはん〈1〉』は、2002年2月から8月までの日記です。

“料理研究家”というと、明るくて元気、いつだって前向き。
きちんとしていて、華やかで…といったイメージがありました。
『日々ごはん〈1〉』はそんな印象を
気持ちよく崩してくれた、という感想。

やたらと呑んでは酔っ払い、休みの日は惰眠をむさぼる。
1人の食事はサッポロ1番だったり、スケベな夢を見たり、
人にはあまり言わないようなそんなことも
高山なおみさんはあっけらかんと書いています。
ちょっぴり自由奔放で、肩に力が入っていない自然な人。

料理に対する愛情、
美味しいものに対する愛情がとっても深いのがよく分かる。
高山なおみさんがさらっと作る料理は季節感に溢れていて、
野菜の美しさやお魚の艶々した感じが目に見えるよう。
頑張って作る料理じゃなく、
ちょっとだけ凝った、でも日々のごはん。
メニューを書いてあるだけで食欲がそそられます。

文章も味があってなんだかいい。
少し日本語が乱れていたりするけれど、
それがとっても瑞々しい。
人の名前や関係性は分からないことが多いけど、
高山さんが何を感じたか、なんかは
短いながらも丁寧に書かれていてよく分かります。
個人の日記だから分からないことがあって当然、という部分と
人に何かを伝えようとする部分が
心地よいバランスで、最後まで気持ちよく読めました。

高山なおみさんのHP「ふくう食堂」でも
『日々ごはん』は読めるけれど、
ちょっとした合間にちょこちょこっと読むのが楽しい。
続きもやっぱりHPより本で読みたいなあ、と思います。



『日々ごはん〈1〉』
吉祥寺にあったレストランKuu Kuuの
シェフを務めながら、取材カメラに追われ、
雑誌のレシピ作りに夜なべする。
スタッフの良きお姉さんとして人生相談にのったり
本に涙して目をはらしたりしながらも、
淡々と過ぎていく日々…。
ささやかな出来事を丁寧に拾い集めた
料理家の飾らない日常。
「おまけレシピ」もついてます。

参考:「BOOK」データベース /
出版社・著者からの内容紹介

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