★4つ。

下町の小さなフランス料理店、
ビストロ・パ・マルの三舟シェフがちょっとした謎を解決する。
近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』の続編
『ヴァン・ショーをあなたに』、前作と同じく楽しめました。
人と人との結びつきに心のこもったお料理が絡む。
時に切なくもあるけれど、心暖まる読後感です。

最初の「錆びないスキレット」は悲しい話だけど、
スタッフの志村さんの好感度がぐっとアップ。
(猫好きさんならきっとみんなそう…)
「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」では
三舟シェフの意外な一面がちょっとかわいく思えたし、
2人ともいい味出してるな、という感想。

「氷姫」「天空の泉」「ヴァン・ショーをあなたに」は
語り手がいつもの高築くんではなくて驚きました。
(「氷姫」は高築くんかと思ったけど、イメージがあまりに違うし
高築くんらしき“若いウェイター”が出てくるのでちがうんじゃないかな?)
「氷姫」「天空の泉」は雰囲気が大人っぽくて、
近藤史恵さんの小説にはこんなタイプの話もあるんだ、
と意外で面白かったです。
「ヴァン・ショーをあなたに」は
ビストロ・パ・マルで何度も出てくる
ヴァン・ショー(=ホットワイン)の秘密が分かって、
『タルト・タタンの夢』から読んでいるとうれしくなってしまう。

相変わらず、美味しそうなお料理がたくさん出てきます。
特に美味しそうだったのは、
ミリアムおばあちゃんのヴァン・ショーと
三舟シェフが修行時代に通ったお店のトリュフオムレツ。
ビストロ・パ・マルに行ってみたい、という気持ちには
『タルト・タタンの夢』を読んだ時のほうがなったけれど、
単に料理の好みの問題かも
(野菜だけのフレンチやブイヤベース、
それほど好みでは無いので…)。

相変わらず高築くんのキャラが薄いのが少し残念。
続編があるなら、彼がどうしてビストロ・パ・マルで
働くようになったか、なんて知りたいな。
ソムリエの金子さんが主役の話も面白そう。

ビストロ・パ・マルの気取らないフレンチ、
またじっくりと味わいたいです。



『ヴァン・ショーをあなたに』
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。
気取らない料理で客の舌と心をつかむ
変わり者の三舟シェフは、
客たちの不可解な謎をあざやかに解く名探偵。
ブイヤベース・ファンの新城さんの正体は?
ミリアムおばあちゃんが
夢のようにおいしいヴァン・ショーを
つくらなくなってしまったわけは?
絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ。

参考:「BOOK」データベース

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

★4つ。

下町にある小さなフランス料理店の、
無愛想だけどとびきり美味しい料理を作るシェフが、
お客が巻き込まれたちょっとした事件を解決する
近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』。
美味しそうなお料理が続々登場するのがたまりません。

起こる“事件”は事件と言うより、日常のちょっとした謎や悩み。
解決してホッとするできごとと
それに絡む心のこもったお料理のイメージが
見事に重なって、心暖まる読後感。
短編だし、安心してさらっと読める、という感想です。

舞台となるビストロ・パ・マルが素敵です。
フランスの田舎の家庭料理が鍋ごと出てきちゃう、
気取らない小さなビストロ。
フレンチは高くて気取ったイメージがちょっと合ったのですが、
パ・マルの料理は実に美味しそう。
豚肉を使ったカスレ、
大麦とホタテのスープ生姜風味、
特製のヴァン・ショー(=ホットワイン)などなど
味わってみたいものがどっさりあります。

ちょっとだけ残念なのは、
フレンチをほとんど食べたことがなくて
料理の味をなかなか想像できなかったこと。
食欲をそそる雰囲気で描かれていますが
食べたことがあればもっともっと
具体的にイメージできたのに。

自分のお店にパ・マル=悪くない、
なんて名前をつけちゃう、ひねくれ者の三舟シェフが
なんともいい味出してます。
料理人の志村さん、ソムリエの金子さんも個性的。
人となりが1番よく分からなかったのが
ウェイターで語り手の高築くん…
「語り手」という立ち位置だから
客観的に状況を語るのは当然かもしれないけれど、
もうちょっと高築くんについても知りたかったな。

彼らに会いに、そして三舟シェフのフレンチを味わいに
ビストロ・パ・マルを訪れたくなりました。



『タルト・タタンの夢』
カウンター7席、テーブル5つ。
小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルの
風変わりなシェフが作る料理は、気取らない、
客の心と舌をつかむものばかり。
そんな名シェフは実は名探偵でもありました。
常連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか?
フランス人の恋人は
なぜ最低のカスレをつくったのか?
絶品料理の数々と極上のミステリ7編。

参考:「BOOK」データベース /
出版社・著者からの内容紹介


↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い