★4つ。

「短編集のふりをした長編小説」とは伊坂さんの言葉。
登場人物が少しずつ違う5つの物語。

これまで読んだ伊坂さんの小説には“圧倒的な悪人”が登場して、
その描写がちょっと怖い(最後にはすっきりするのだけど)。
でも今回はそれがなく、
気持ち良いまま最後まで読めました。

それぞれの物語は時間系列通りではなく並んでます。
「ああ、こういうことだったのか。」と繋がる感覚が面白い。

しかしすべてに登場する「陣内」さん、
惹かれる人ではあるけれど近くにいたらかなり困る。




「俺たちは奇跡を起こすんだ」

独自の正義感を持ち、
いつも周囲を自分のペースに引き込むが、
なぜか憎めない男、陣内。
彼を中心にして起こる不思議な事件-。
何気ない日常に起こった
5つの物語が1つになった時、
予想もしない奇跡が降り注ぐ。
ちょっとファニーで、心温まる連作短編。

参考:「BOOK」データベース 『チルドレン』

★4つ。

心が通じ合っているとはとても言えない夫婦の、
幸せなような淋しいような、
でも間違いなく平和な日常。

人の心が特に理由もなく揺れ動くこと、
自分にも説明できない感情が
細やかに繊細に描かれています。

江國さんはニガテ、という友人が
「抽象画を見てるみたいで…」と言っていて、
うまい表現だなーと思ったけど私はそこが好き。

でも、この本に出てくる旦那さんは好きになれん。
 



「私と別れても、逍ちゃんはきっと大丈夫ね」
そう言って日和子は笑う、くすくすと。
笑うことと泣くことは似ているから。

結婚して10年、
幸福と呼びたいくらいな愉快さと、
うすら寒いかなしみ。
日々たゆたう心の動きをとらえた、
美しくて少し怖い連作短篇小説集。

参考:「BOOK」データベース 『赤い長靴』

★4つ。

小学校3年生から高校3年生まで、
1人の少女が成長していく物語。

大人になった主人公が
「あの頃の自分はこうだった」と振り返っている視点、
イタくて恥ずかしくて懐かしい少女時代を淡々と語っている
“大人の彼女”に親近感。

そーそー、
少女時代って恥ずかしいよねー。
でもその時は真剣で。

青春真っ盛り、
のお話は気恥ずかしさがあるのですが
このお話は素直に読めました。
自分のその頃を思い出して、
かーなーり恥ずかしいけど。




私は、“永遠”という響きに
めっぽう弱い子供だった。

どこにでもいる普通の少女、紀子。
小学3年から高校3年までの9年間を、
70年代、80年代のエッセンスをちりばめて描いた
“大人への物語”。

参考:「BOOK」データベース『永遠の出口』

★3つ。

孤児の飛鳥の、愛の形。
切ないほどの人を想う心、
自分の足で立とうとする飛鳥の願いは痛いほど。
舞台が自分の住んでる街なので、
雪の光景などありありと分かるのも素敵でした。

ただ、どうしても会話の不自然さが気になる…。
小説の地の文そのままのような、
理路整然とした言葉で話す登場人物には
人間臭さをあまり感じられませんでした。

ストーリーや情景は好きなのだけど。
あと、表紙の味戸ケイコさんの絵は大好き。




雪降る札幌で迷子になった5歳の孤児・飛鳥は
親切な青年・祐也に救われる。
2年後、引き取られた家から逃げ出した飛鳥を
引き取ったのも祐也だった。
2人の運命と苦しいほどの愛を、
雪の結晶の如き繊細な筆致で描く
著者の代表作。

参考:「BOOK」データベース『雪の断章』

★2つ。

途中は面白くて、
どうなるかドキドキしながら読んだけど…。

あまりにも登場人物が悪い人ばっかりで、
ラストはもやもやが残ってしまった。

「いい人が1人もいない小説を書きたかった」
という作者の狙い通りかもしれませんが、
少しは共感できる人がいて欲しかったなぁ。

東野作品、私にとっては当たりハズレが大きい小説。
それでも“当たり”を求めてまた読んじゃいそうです。




敏腕広告プランナー・佐久間は、
クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。
家出してきた葛城の娘と出会った佐久間は、
“狂言誘拐”というゲームを開始した。

参考:「BOOK」データベース『ゲームの名は誘拐』

★4つ。

ある事件の犯人や動機を、様々な角度から推理していく・・・
っていうとごく普通だけど、
語り手が人ではなくお財布!なのです。
関係者のお財布が
それぞれの持ち主から見たことを次々に語っていく。

一人称の感情の吐露とも
三人称の淡々とした描写とも違い、
動けずとも持ち主への愛情あふれたお財布の視点が新鮮です。

その視点抜きでも、
犯行の動機や関係者の気持ちといった
人間の心理がこまやかに描かれていて説得力あり。

よく考えたらお財布ってほとんど肌身離さず持っているから、
持ち主の秘密は全て知っているんだよね・・・。

すべてのお財布が語りだしたら、
世の中きっとタイヘンなことに。

長い長い殺人 (光文社文庫)長い長い殺人 (光文社文庫)
宮部 みゆき

スナーク狩り (光文社文庫) とり残されて (文春文庫) 淋しい狩人 (新潮文庫) 人質カノン (文春文庫) 地下街の雨 (集英社文庫)

by G-Tools

★4つ。

1973年に起きたある事件。
解決しないまま年月が経ち、
その関係者の周りで次々と新たな事件が…。

犯罪はもちろん許されることじゃない。
だけど、犯罪を犯すことでしか生きられなかった犯人が悲しすぎて、
被害者ももちろんだけど彼らも救ってあげたくて。
犯人の視点から語られることはないので
「どうしてこんなことを?」って思っていたのが、
推理だけでだんだん動機が浮かび上がってきて
すっかりのめり込んでしまいました。

東野圭吾さんの長編、
初めて読みましたが短編よりずっと面白かった。
ラストはなんだか切なすぎるけど。

白夜行 (集英社文庫)白夜行 (集英社文庫)
東野 圭吾

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7)) 秘密 (文春文庫) 分身 (集英社文庫) 悪意 (講談社文庫) 変身 (講談社文庫)

by G-Tools

★4つ。

伊坂幸太郎さん、2冊目。
今回も期待に違わず、でしたよ!

複数の主人公が入れ替わり現れるつくりは
馴染むまでちょっと時間がかかっちゃった。

でも、まったく関係ないように思えた主人公たちに
つながりが見えてくると一気にのめりこみます。

みんなそれぞれ人生がある。
自分にとっては平凡な日でも、
今朝すれ違ったあの人は今日が人生の転機かも。
そんな思えば当たり前のことをちょっとしみじみ考えました。

ラッシュライフ (新潮文庫)ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎

オーデュボンの祈り (新潮文庫) 重力ピエロ (新潮文庫) チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) 陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

by G-Tools