★4つ。

主人公・希里の私生活は、
ふつうに考えるとかなり辛いもの。
なのにそれが驚くほど淡々と語られていて、
希里はこの生活を「辛い」なんて考えていない、と分かる。
自分に起こるすべての出来事を諦めるのではなく受け入れて、
穏やかに生きようとしている。

「眠るためのホテル」の描写はとても繊細。
人間の生活に欠かせない「眠り」、
もっと大切に取り扱わないといけないのでは、という気持ちになります。

希里の私生活もオテル モルで起こる出来事も、
もっと大騒ぎになるようなことが
敢えて事件とならないところで終わっています。
複雑なことがたくさんありながら、
なぜか何も起こっていない印象。

問題があったとしても、
人は穏やかに生きることができる。
そんな風に思えて心が少し休まります。
そうやって生きていくコツは「眠り」を大切にすることかも。
オテル モルに泊まってみたくなりました。
家でもぐーすか寝てるけど。



『オテル モル』
「悪夢は悪魔、どうかよい夢に恵まれますように」

チェックインは日没後、チェックアウトは日の出まで。
しあわせな眠りを提供するためだけにあるホテル、
オテル・ド・モル・ドルモン・ビアンの
フロントで働き出した希里。
世界と優しく対峙する、
日常からほんの少し乖離した世界の物語。

参考:「BOOK」データベース
/ 出版社・著者からの紹介

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★5つ。

今の仕事にちょっぴり疑問を持っている人、
おうちで仕事がしたい人。
はっきり言ってこの本はキケン。
楽しいことを仕事にしている様子が描かれていて
自分でもやってみたくなっちゃうかも。
私はがっつり、なりました。(→このように。

k.m.p(公式HP→k.m.pのぐるぐるPAPER)は
なかがわみどりさんとムラマツエリコさんのユニット名。
何かたのしいことをやろう、
できればそれでお金を稼ごう、
という2人のふだんの様子が詳しく分かる。
k.m.pファンは必見。そうじゃなくても、
フリーのお仕事の様子が垣間見られて興味深い。

少し気分が下がり気味の時に見返す本。
緩くてかわいい絵柄を見てると肩の力が抜けて、
無理せず楽しく頑張ろう、
という気持ちになれるのだ。



『2人で、おうちで、しごとです。』
女2人でつくったしごと。
「すき」をしごとにしてみたけれど。

しごとと、あそびと、生活の、現場の実体を公開。
自分の居場所の、つくり方。

参考:「MARC」データベース

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★4つ。

森見登美彦さんの作品でも、
格調高さに笑えてしまう『太陽の塔』とは全然違う。
しんとした描写が続き、
奇妙だけど美しく、少し怖い。

『きつねのはなし』は、最後まで読んでも不思議なまま。
何が起こったのか種明かしされることはなく、
そういう不思議もこの世にはあるのかもしれない…という
背筋がぞくっとする感覚が残ります。

4つの物語はリンクしているようでいて矛盾した点が多くあり、
日常→ 第1の物語→ 第2の物語… というふうに
少しずつずれた場所に連れていかれる感覚。

怖くて眠れない、というホラーではなく
いつもの暮らしのすぐそばに
奇妙な世界への入り口がぽっかりと開いているのでは、
という緩やかな恐怖。
古の都・京都の趣に、登場する不思議なものたちは
昔々から京都に潜んでいたのだろうか、という気にさせられる。

読み終わっても謎は謎のままで、
スッキリとはいかないので好みが分かれるかも。
答えの無い緩い恐怖、私は好きです。



『きつねのはなし』
京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。
細長い座敷に棲む狐面の男。
仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。
私が差し出したものは、そして失ったものは、
あれは何だったのか。
妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。

参考:「BOOK」データベース

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★3つ。

今作で語られるのは「禅宗」。
今までで1番難しかった…。
「禅」は言葉で解釈するものではない、と語られているのですが
読んでいる側としては言葉で解釈するしかなく、
そうするとやっぱり分からなくて、
京極堂の薀蓄(うんちく)を読むのが結構しんどかった。

…というか、
自分が「禅」にさほど興味を持っていないことに読んでいて気付かされました。
個人的な好みの問題で、
興味がある人には面白いのかも。

一方、事件のほうはというと薀蓄とは違ってわりと分かりやすい。
途中で犯人と動機が分かったのは初めて。
そこは京極堂に付いて行けたぜ、とちょっと嬉しくなりました。
複雑怪奇な事件が見事に収束する様は
いつもの京極堂シリーズと同じく快感を味わえます。

薀蓄は難しく、事件は分かりやすい。
推理小説としてはどうなのかな、と思うけど
すでに登場人物たちに愛着があるもんだから良しとしてしまった。
京極堂が「言霊」を用い憑き物を落とすシーンは
お決まりだけど気持ちよくて、つまりはハマってしまっています。



『鉄鼠の檻(てっそのおり)』
忽然と出現した修行僧の屍、
山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。
箱根に集った関口らの前で
次々と起こる奇怪な現象、
無惨に殺されていく僧侶たち。
厳然と存在する謎の寺・明慧寺(みょうけいじ)に
封じ込められた動機と妄執に、
さしもの京極堂が苦闘する。

参考:「BOOK」データベース

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★4つ。

角田光代さんの小説で最初に読んだのは
yom yomに載っていた「浮き草」。
浮き草のようにふらふらした女性、傍から見てると危なっかしいけど
定まっていないからこその明るさと力強さがあって、いっそ清々しいくらい。
読後が気持ち良かったのでほかの本も読んでみました。

3つの短編の主人公は皆、
「定まっていない」人たちばかり。
1年後は何をしているか分からないような、
本人も定まることを決して望んでいないような。

一人称でありながら、
彼女たちが何を考えているのかよく分からない。
「イライラした」「怖くなった」といった一瞬の感情は語られているけれど、
何を思ってこんなことをしたか、という説明がなくて
彼女たちの行動に時々驚いてしまう。
けれど、一瞬を生きているような彼女たちは妙にリアル。
読んでいる自分の足元も危ないような、
それでいて奇妙に明るい場所にいるような感覚がなんだか気持ちいい。

起こる出来事も抽象的で、
「浮き草」よりも不安定な感じが強いのは
今と昔の作風の違いなのでしょうか。
どちらにしても、その軽い自由さが不安で、同時に心地よい。

自分もこんな浮遊した時があったような、
今でもちょっと浮遊したいような。

人も出来事もヘンだけど、
浮遊した時間を過ごす感覚に
懐かしさと羨ましさを同時に呼び起こされました。

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私の知らない「彼女」にジャムを作る弟・タカシ。
魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。
5日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。
3人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏-。
「まどろむ夜のUFO」ほか2編。

参考:「BOOK」データベース 『まどろむ夜のUFO』

★3つ。

本を守る図書館の戦い、第2弾。
主要な登場人物たちの内面や過去がより深く語られだしています。
戦いも単純な完全懲悪では無くなってきて、
「個人」と「組織」の関わりが大きな問題に。
色々なことが少しずつ掘り下げられ広がっていって次へとつながる、
この本1冊で楽しむというより、あくまでシリーズ中の1冊。

もともと苦手なラブコメ部分は
ますます甘~くなってきて、恥ずかしいっつーかこそばゆいっつーか。
でも、クールに思えた登場人物にちょっとほろっとさせられたりして
だんだん彼らに愛着が湧いてきました。
勢いがあってコミカルで単純に楽しめる、という面白さは前作と変わらず。
一気に読める軽さの中に重たいテーマが隠れていて、
実はかなりの骨太さがあるのが好きなところ。

続きも読むけど、個人的には甘さ控えめを望んでおります。
癖になっちゃうとそこが良いのかな~、とも思うのだけども。

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相も変わらず図書館は四方八方敵だらけ!
山猿ヒロインの両親襲来、
メディア良化委員会の攻撃。
迎え撃つ図書館側にも不穏な動きが…。
図書館の明日はどっちだ!?

参考:『図書館内乱』
出版社 / 著者からの内容紹介