★4つ。

吉沢深雪さんの『うたたね村の不思議なじゃがいも』
とにかくイラストがかわゆいのです。
表紙のゆるゆるとした猫たち、
ページを開くとそれぞれがいい味出してる
18匹のねこさんたちののんびりとした暮らし、
猫好きならば無条件に惹かれる。

18匹のねこさんたちは「キャットチップス」というキャラクター。
マグカップ、時計、バッグなどなど
色んなグッズがあるみたい。
作者の吉沢深雪さんはイラストやエッセイで活躍している方。
キャットチップスの絵本は2冊出ているらしいけど、
もっと続編を望みます。

小さな島ののどかな村で、
魚を取ったり昼寝をしたりしながら
幸せに暮らしているねこさんたち。
ゆるゆるした絵がかわいくて、眺めてるだけで幸せ気分。
不思議なじゃがいもで作ったフライドポテトは
ほんとに美味しそうで今すぐ買いに行きたくなります。

こんな村でねこさんに囲まれて、ゆっくりのんびり暮らしたい。
もちろん、うちの猫も一緒にね。



『うたたね村の不思議なじゃがいも』
18匹のねこの兄弟は、
フライドポテトづくりの名人だった!
サバ、ジョニー、はな吉、ミケ…
マイペースのねこたちが
フライドポテト屋をはじめたら…!?
おいしいフライドポテトのレシピ付き。

参考:「BOOK」データベース

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★4つ。

『姑獲鳥(うぶめ)の夏』からどんどんつながりながら発展し、
『塗仏の宴―宴の始末(ぬりぼとけのうたげ うたげのしまつ)』
一段落したこのシリーズ。

『陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)』では、前からいる登場人物は少なめです。
家の中で起きた悲劇、それに対しての関口の関わり方。
何かと「姑獲鳥(うぶめ)の夏」を思い出し、
一回りして戻ってきた印象を受けました。

犯人が誰かは分かってしまう人も多いと思うし
こんな人間がいるわけはない、
と冷静に考えると思うのですが
そこに至るまでの膨大な薀蓄に基づいた緻密な描写で
なぜか納得させられて、切なさが後に残ります。
真相が分かった時には少し泣きたくなりました。

誰も悪くないのに起こってしまった悲劇。
京極夏彦さんの京極堂シリーズはいつも、
犯罪にまつわる人間の切なさ、悲しさが描かれていて
そこに惹かれて読んでしまいます。

初めて読んだ「姑獲鳥(うぶめ)の夏」の
インパクトには及ばないけど、
登場人物たちが前より少し強くなっているような気が。
特に前作では完全に壊れてしまっていた関口、
まだまだ大変そうだけど
ラストでは少し明るいほうを向いていたみたい。

「塗仏の宴(ぬりぼとけのうたげ)」の後、
登場人物たちがどう生きるのか気になっていましたが
悲しいながらも少しだけ明るさも感じてほっとしました。 



『陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)』
樺湖畔にそびえる洋館「鳥の城」。
主である「伯爵」の過去の花嫁4人は
みな何者かによって初夜に命を奪われている。
伯爵は5度目の婚礼を控え、
探偵・榎木津礼二郎に花嫁を守るよう依頼した。
小説家・関口巽を連れ館を訪れた探偵は、
住人達の前で叫んだ。
-おお、そこに人殺しがいる。

参考:「BOOK」データベース

★4つ。

山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語。
『新釈 走れメロス 他四篇』は日本文学史上に残る傑作を原作として
舞台は現代の京都、登場人物は大学生。
森見登美彦さん流に描かれています。

表題作「走れメロス」、感想を一言で言うと

なんじゃこりゃ。

こんなに笑える話になるなんて!
スピード感は原作のまま、
だけど大真面目にばかばかしいことを実行する登場人物たちに
思わず笑ってしまう面白みは完全に森見登美彦さんの世界。

かと思うと、
うまく行っているように見えて
次第に絶望へと陥っていく「桜の森の満開の下」の悲しさ、
同じ出来事が見る人によって食い違ってしまう「藪の中」の不思議さ、
それぞれがまったく違ったテイストで実に見事。
登場人物がリンクしたりと、5つの話につながりがあるのも興味深い。
それも原作を十分に踏まえたうえなのだから
まったく舌を巻いてしまう。

この本だけでも楽しめるけど、原作を知っていれば面白さ倍増。
読んでないものがあれば青空文庫でどうぞ。
原作があるからこそ広がる森見登美彦さんの世界をより堪能できます。



『新釈 走れメロス 他四篇』
あの名作が、京の都に甦る!?
暴走する恋と友情-
若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!
異様なテンションで京都の街を突っ走る
表題作をはじめ、
先達への敬意が切なさと笑いをさそう、
5つの傑作短編。

参考:セブンアンドワイ

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★4つ。

マダム小林とは、
実は女優の小林聡美さんのこと。
ドラマや映画はあまり見ないけど、
飄々と我が道を行く風情の小林聡美さんは
かなり好きな女優さんです。

彼女のエッセイはあまりにも赤裸々で
「女優」という気取りがまるでない。
ダンナ様が仕事でいない時の1人での生活のだらしなさったら、
ちょっとひどいぞーと思いつつも分かる分かるとも思って笑える。

彼女の「夫」もかなりツボなので、
「夫」の話が出るとあの顔が浮かんで笑ってしまう。
カナダのカヌー体験は、ご夫婦の引きつった顔が浮かんできて大笑いでした。
「夫」が言っているという「僕には絶対音感がある」というセリフ…
絶対、嘘!!TVで歌ってるとこ見たけど、ひどかったもの!!
 
何事もさらっと笑いにしてしまう小林聡美さん。
ユーモアのある文章は、肩の力を抜いて楽しめる。
女優としての彼女を知らずとも、十分楽しいエッセイです。 



『マダム小林の優雅な生活』
家事全般をひきうけながらも、一歩外に出れば
女優という職業婦人であるマダム小林。
ある時はロケ先であわや突然死事件を起こし、
またある時は愛するオットと
カナダで激流に呑み込まれる…。
慎ましやかだけど、
なぜだか笑える事件続出の「マダム人生」。

参考:「BOOK」データベース

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★5つ。

小学校の教科書で読んだ「きつねの窓」、
中学校の教科書で読んだ「鳥」。
印象に残っていた2つの話が
同じ作者だと気づいたのは高校生の頃でした。
この本にはその2つを含めた、12の話が載っています。

「きつねの窓」ではききょうの青、
「ある雪の夜の話」では真っ白な雪野原の上の真っ赤な林檎…
美しい色が印象的なものが多いです。
けれどどんなに鮮やかでも、どこか透明感がある。
それは、私たちがいる場所とは違う世界の色だからかも。

安房さんのお話はどれも、異世界にそっと連れて行ってくれます。
違う世界と、人間との交わり。
それは時にほんの一瞬で2度と出逢えず、
時に帰れなくなってしまい、
切なかったり淋しかったり、少し怖い時も。
それでも、すべてを優しさが包んでいるから、どこか心が暖まる。

味戸ケイコさんの絵は美しいけど切なくて淋しくて、
安房さんのお話にぴったりで大好き。
この本では挿絵はあまりないけれど、絵と話が一体となって
とても印象深いものになっています。 



『南の島の魔法の話』
あたしの耳にはいってしまった、
たいへんなものをとってください…。

耳のお医者さんのところに駆け込んで来た少女。
お医者さんが見た、たいへんなものとは…。(「鳥」)
不思議な世界にそっと連れて行ってくれる、
幻想的な短編集。

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★4つ。

万城目学さん、ホルモーシリーズの舞台は京都でしたが、
『鹿男あをによし』の舞台は奈良。
読んでみると同じ古都でも、京都より少し骨太なイメージでした。
小説全体に古代を偲ばせる雰囲気が漂っていて、
鹿が話すのも有り得ることだ、と思ってしまう。
奈良の歴史がうまく組み込まれ、同時に青春小説の爽やかさもあり。

スケールはかなり大きく、
書きようによっては大活劇になりそうなのに
ヒーローのはずの“先生”が完全に振り回されている。
その独特な脱力感が、気負わず楽しく読めてなんとも好きです。

『鹿男あをによし』は登場人物も魅力的。
望んでいないのに選ばれてしまった先生、
ちょっと抜けてるし人付き合いがヘタみたいだし、
イマイチ冴えないけど憎めない。
そして“先生”の生徒である堀田イト、
女子高生の微妙に動く心理が嫌味なく書かれていて、
初めはちょっと憎たらしいけど最後にはかわいく思えます。
後から彼女の気持ちを考えると、ちょっと切ない。

ラストは古典的で展開が読めたけど、
古代の雰囲気漂う『鹿男あをによし』に
よく似合っていると思いました。
とてもすっきりと気持ちよく、少し切なさも漂うラスト。

文字にしないと自分達にとって大切なことも
すっかり忘れて好き勝手やってしまう人間、
昔々の約束をずっと果たし続けている鹿。
人間なんか見下している鹿、
けれど最後には心が少し分かってぐっと来ました。

ところで先日、動物園に行きました。
雌鹿が近寄ってきたので、なんか話すかとドキドキしました。
鹿の前では油断しちゃいけません。 



『鹿男あをによし』
大学院の研究生活から一転、
2学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。
生徒との接し方に悩む彼に、
指令を下したのは美しい雌鹿。
「さあ、神無月だ-出番だよ、先生」。

参考:出版社 / 著者からの内容紹介

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