★3つ。

大好きで繰り返し読んでいる
ジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』。
『おちゃめなパッティ』は『あしながおじさん』より前、
1911年に発表された作品です。

主人公パッティが高校で遭遇する事件が
次々と描かれて、ドタバタ感が少々強い。
完成度はやはり『あしながおじさん』のほうが
上じゃないかな、という感想です。
パッティも他の少女達も明るく元気でかわいいけれど、
一人ひとりの印象が若干薄く感じました。
特にパッティの大親友2人、
とっさに名前すら思い出せないのがちょっと寂しい。

見分けがつかない、という印象はあるけれど
“明るく元気な女の子たち”という面で見ると
彼女たちはとっても生き生きしていて、
こんな子たち、いそうだなーと思えます。
厳格そうに見える学校でも
生徒たちはその中で抜け道を探して
案外たくましく毎日を送っているのが微笑ましく、
とても身近に感じます。
まだ女性に選挙権もない時代のアメリカで、
自分の個性を存分に発揮させようとする
パッティやクラスメイトたち。
ふとした時に、あ、100年も昔の話だっけ?と
驚かされてしまいます。

若い彼女たちから見た大人たちが抱える問題、
それに自分たち流に立ち向かおうとする
元気のよさは清々しい。
純粋な目で社会を見たら
なんておかしなことが多いのか。
理不尽なことに憤るまっすぐな気持ちには
心が揺さぶられます。
パッティが自然に持っている反骨精神、まっすぐさは
『あしながおじさん』のジュディに
引き継がれているなあ、と思います。 

唐突に卒業で終わってしまった…と思ったら
続編は『おちゃめなパッティ 大学へ行く』
(ホントはこっちが最初の作品だそうですが)。
少し大人になったパッティが気になるところです。



『おちゃめなパッティ 』
由緒正しく規律に厳しい女学校に通う
いたずら好きのパッティ。
そのストレートな生き方で、学園に嵐を巻き起こす!
正しさ、優しさを貫いて、
周りの人々も巻き込みながら
成長していくパッティたち。
「これぞアメリカ!」な青春小説。

参考:「BOOK」データベース /
出版社・著者からの内容紹介

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★5つ。

最近、書いた人の素顔がちょっと見えるような
日記式の小説やエッセイに惹かれます。
yom yom(ヨムヨム) 2009年10月号に載っていて良かった
料理研究家の高山なおみさんの日記、読んでみました。
『日々ごはん〈1〉』は、2002年2月から8月までの日記です。

“料理研究家”というと、明るくて元気、いつだって前向き。
きちんとしていて、華やかで…といったイメージがありました。
『日々ごはん〈1〉』はそんな印象を
気持ちよく崩してくれた、という感想。

やたらと呑んでは酔っ払い、休みの日は惰眠をむさぼる。
1人の食事はサッポロ1番だったり、スケベな夢を見たり、
人にはあまり言わないようなそんなことも
高山なおみさんはあっけらかんと書いています。
ちょっぴり自由奔放で、肩に力が入っていない自然な人。

料理に対する愛情、
美味しいものに対する愛情がとっても深いのがよく分かる。
高山なおみさんがさらっと作る料理は季節感に溢れていて、
野菜の美しさやお魚の艶々した感じが目に見えるよう。
頑張って作る料理じゃなく、
ちょっとだけ凝った、でも日々のごはん。
メニューを書いてあるだけで食欲がそそられます。

文章も味があってなんだかいい。
少し日本語が乱れていたりするけれど、
それがとっても瑞々しい。
人の名前や関係性は分からないことが多いけど、
高山さんが何を感じたか、なんかは
短いながらも丁寧に書かれていてよく分かります。
個人の日記だから分からないことがあって当然、という部分と
人に何かを伝えようとする部分が
心地よいバランスで、最後まで気持ちよく読めました。

高山なおみさんのHP「ふくう食堂」でも
『日々ごはん』は読めるけれど、
ちょっとした合間にちょこちょこっと読むのが楽しい。
続きもやっぱりHPより本で読みたいなあ、と思います。



『日々ごはん〈1〉』
吉祥寺にあったレストランKuu Kuuの
シェフを務めながら、取材カメラに追われ、
雑誌のレシピ作りに夜なべする。
スタッフの良きお姉さんとして人生相談にのったり
本に涙して目をはらしたりしながらも、
淡々と過ぎていく日々…。
ささやかな出来事を丁寧に拾い集めた
料理家の飾らない日常。
「おまけレシピ」もついてます。

参考:「BOOK」データベース /
出版社・著者からの内容紹介

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★5つ。

少々遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
2010年最初の本の感想は、森見登美彦さんの
『宵山万華鏡(よいやままんげきょう)』
思いっきり季節外れですが、
華やかさがどこか新年っぽいかな、とこじつけです。

日本三大祭りの1つ、京都の八坂神社の祇園祭。
7月を通じて行われる長いお祭りのうち、出店が立ち並び、
毎年40万人もの人々が集まる最も華やかな日が7/16の宵山。
『宵山万華鏡』はその夜、現実と不思議の挟間を歩く人々を描いた
連作中篇集です。

宵山の華やかさは人が本来踏み込んではいけない世界と隣り合わせで、
だからこそ奇妙で美しく、少し淋しくて少し怖い。
話ごとにコミカルだったり怖かったりと趣がちがうけれど、
すべては同じ“宵山”という夜の中で起こるできごと。

前の話の主役が次では通行人として登場したり、
最初の話と最後の話が
おなじできごとをちがう角度から見たものだったり、と
『宵山万華鏡』全体で
“宵山”という1つの万華鏡の世界が紡ぎだされています。

奇妙な世界にするっと入っていってしまう登場人物たち。
そこの角を曲がれば、扉を開ければ、
妖しの世界にスッと行ってしまって帰って来られないような、
それでもちょっとその世界をのぞいてみたいような気分に。

祭りのキラキラした華やかさ、
馬鹿馬鹿しいことに怖ろしく真面目に取り組む
情けなくも愛おしい学生たち、
日常のすぐそばに奇妙な世界への入り口が
ぽっかりと開いているような緩やかな恐怖…
森見登美彦さんが描くエッセンス、
すべてがぎゅっと凝縮されているかのよう。

中篇どうしのつながりはもちろん
いつものように別の小説ともリンクしているのも楽しい。
現実と不思議の挟間を思う存分楽しめて、
今まで読んだ森見登美彦さんの本の中でも相当お気に入りになりました。
 
“祇園祭宵山”がどういったものかよく知らずに読みましたが、
華やかな夏祭りの雰囲気をたっぷりと楽しみました。

真冬に読んじゃったけど、宵山の季節にもう1度読みたい。
そして宵山、ぜひ行ってみたくなりました。
奇妙なものと出逢ってしまいそうで、かなりドキドキしそうだけど。



『宵山万華鏡(よいやままんげきょう)』
祇園祭宵山の京都。
熱気あふれる祭りの夜には、
現実と妖しの世界が入り乱れ、
気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。
幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、
失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。
くるくるとまわり続けるこの夜を
抜け出すことは、できるのか。

参考:「BOOK」データベース

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