★4つ。

「何かしよう」としてきたわけじゃなく、
「したくないことはしない」というスタンスで生きてきたハナ。
自分はそれで充分なのに、周りはどんどん変わってしまって…。

最近ハマってる角田光代さんの小説、
この『薄闇シルエット』は今まで読んだ中でもとびっきりリアル。
友だちの結婚、肉親の死、
色々なことが起こって、自分が昔ほど若くはないという事を
嫌と言うほど思い知らされる。
周りはみんな「何か」を掴んでいるように見えて、
取り残された気分になって泣きたいくらい心細い。
自分も何かしよう、幸せを掴もう、
でも自分がしたいことって?自分にとっての幸せって?
どうしてこのままじゃいけないんだろう…
って惑うハナの姿は実に実に共感できてしまって心に痛い。

ハナは独身、仕事は頑張ってきたけど
今以上に儲けたり、ちがうことをしたいわけじゃない。
読む人の立場は色々だけど、
他人が自分よりちゃんとしているように見えたり
自分の幸せって何だろう、と迷ったりするのは
どんな立場でも感じる気持ちではないかな。

帯の言葉「惑いまくったって、いいじゃんか。」
ハナはこれからも惑いまくるとおもう。
だけど、「惑いまくったって、いいじゃんか。」
こういうふうにしか生きられないんだから仕方ないよねー、
ってハナやたくさんの「惑いまくっ」てる人たちと
顔を見合わせてうなずき合いたい気分。
お互いしんどいけど頑張ろうぜ、
っていう気持ちは「同病相哀れむ」的なものだったりします。



『薄闇シルエット』
ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。
ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、
小さな違和感を感じる。
「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と
思って疑わないんだろう…」
人生の勝ち負けなんて、
誰が分かるというのだろうか。
圧倒的リアルと共感が心にささる傑作長編。

参考:「BOOK」データベース

 
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コメント
薄闇シルエット

本の感想・レビュー記事へのコメント
No title
こんにちは
私もこの本を少し前に読みました。
とてもよかったです。
恋愛、友情、仕事、と30代の女性の視点が本当にリアルで、
とくに後半、お母さんが亡くなって、古着の絵本を
思いついていくあたりからは止まらなくなりました。
読後感も良いし、心にしっかりと響いた一冊。
角田光代さんの、『太陽と毒蜘蜘蛛』や『彼女の献立帖』(だったかな)なども大好きです。
2009/01/20(Tue) 19:16 | URL  | エリコ #-[ 編集]
>エリコさん
こんにちは、お返事遅くなってしまいました<(_ _)>
薄闇シルエット、まさに“圧倒的リアル”で
30代の私には本っ当に痛いくらいでした。
古着の絵本、これだ!と思ってもやっぱり惑ったり…
でもラストは「そうそう、そうだよね」って思えて。
私にとっても、心にしっかり響いた一冊です。
『彼女のこんだて帖』、私も好きです!
『太陽と毒ぐも』はまだです、今度読んでみますっ。
2009/01/22(Thu) 09:57 | URL  | Run #-[ 編集]
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