★5つ。

お正月に実家に帰って、
本棚にあった『風の歌を聴け』を久しぶりに再読。
初めて読んだ高校生の時と同じく、
一見軽快であるけれど透き通った寂しさがあふれる情景に
今でもやっぱりハマってしまった。

私にとって、村上春樹さんは“基本”。
色々な小説を読んでも、
なぜか惹かれて戻ってきてしまうところ。
感情を言葉にすることがほとんどないけれど
温かいもの・熱いものを持った登場人物たちに
特別な愛着を感じ続けているのです。

デビュー作である『風の歌を聴け』、
やはり村上春樹さんの原典だと思います。
淡々とした語り口、特に事件が起きるわけでもない夏の情景。
それでもやっぱり、
奥底に静かだけど熱い何かが流れているような。

村上春樹さんがエッセイで
「『風の歌を聴け』は忙しい中、細切れの時間で少しずつ書いた。
だから情景がぶつぶつと切れてしまい、それがクールだと評された」
と(原典を忘れてしまったから正確な引用ではないけれど)
語っていましたが、「僕」も「鼠」も真底クールだとは思えない。
“何か”を秘めた静かな語り口に惹かれているのかもしれません。

そして文章に散りばめられている、心に残る言葉たち。
「完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。」
「かつて誰もがクールに生きたいと考える時代があった。
-僕は心に思うことの半分しか口に出すまいと決心した。
-そしてある日、僕は自分が思っていることの
半分しか語ることのできない人間になっていることを発見した。」
それから、犬の漫才師と呼ばれたDJの心の底からの一言。

その後の村上春樹さんの、物語性がある小説とはちょっと違う。
するすると読めるけど心の奥に沁みてくる、
何度も読み返してしまう本です。



『風の歌を聴け』
1970年の夏、海辺の街に帰省した「僕」は、
友人の「鼠」とビールを飲み、
介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。
2人それぞれの愛の屈託を
さりげなく受けとめてやるうちに、
「僕」の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。
青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた
出色のデビュー作。

参考:「BOOK」データベース

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コメント
風の歌を聴け

本の感想・レビュー記事へのコメント
はじめまして
村上春樹。独特の比喩で読みづらい時もあるけど妙に惹かれてしまいます。
2009/01/25(Sun) 10:16 | URL  | ガバチャ #MhX0ODzk[ 編集]
>ガバチャさん
はじめまして、コメントありがとうございます♪

村上春樹さんの独特の比喩、難しいけど印象的ですよね。
あの比喩にも妙に惹かれてしまって、
やっぱり大好きな作家さんです。

よろしければまたお越し下さいませ!
2009/01/25(Sun) 23:51 | URL  | Run #-[ 編集]
No title
私もこの本は、何度も読み返してしまいます。
村上春樹の世界観にどっぷりとつかりたいときには
最適の本だと、いまだに思っております。
2009/01/26(Mon) 12:33 | URL  | sakura-kanade #-[ 編集]
>sakura-kanadeさん
コメントありがとうございます!

『風の歌を聴け』のどんどん変わっていく情景、
ストーリーを追いたくなるほかの話以上に
たっぷり村上春樹さんの世界観を楽しめますよね!
ふとした時に読み返したくなってしまう本です。

どうぞまたお越し下さいませ♪
2009/01/27(Tue) 00:39 | URL  | Run #-[ 編集]
初めて村上春樹の本を読んだ
初めまして、「風の歌を聴け」で調べて飛んできました。
初めて村上春樹の本を読みましたが、あの人の本は日本人が書いた本とはなんか違う雰囲気がしました。
淡々としているのですが、何か惹かれるところがある気がしました。何に惹かれるのかまだよくわからなかったのですが、もう少し読み込めばわかるような気がしましたよ
2009/12/10(Thu) 14:38 | URL  | tsuyunaruhito #-[ 編集]
>tsuyunaruhitoさん
初めまして、コメントありがとうございますっ!
村上春樹さんの文章、淡々としていますがなぜかクセになってしまいます。
何度も読んでも分かるような、分からないような…
だからこそ何度も読み返してしまうのかもしれません。

よろしければまたお越し下さいませ♪
2009/12/12(Sat) 14:29 | URL  | Run #-[ 編集]
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