★4つ。

久しぶりの京極堂シリーズ本編。
今回はある意味、“榎木津の事件”。
出番自体は少ないけれど、
“らしくない”姿に榎木津の苦しみを感じて切ない。

『姑獲鳥(うぶめ)の夏』『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』のような
奇妙さや不気味な美しさは、薄れてきている気がします。
“憑き物落とし”も、単に真相を明かしたような印象。
その場にいる全員から憑き物が落ちる、
まるで自分からも憑き物が落とされたように感じられる、
あの強烈なインパクトが感じられなかったのは残念。

それでも、読み終わった感想は「あー、面白かった。」でした。
登場人物への愛着があって、
榎木津や関口の意外な姿や
青木や益田の今まで知らなかった内面が
見られるのがうれしいのです。
複雑な事件がスッとまとまる緻密な構成も好きな理由。

そしてやっぱり、
犯罪を犯してしまう人間の悲しさ、暗さに惹かれてしまう。

自分にとっては自分が世界の中心だけど、
世界にとっては自分は一粒の砂に過ぎない。
一粒の砂に過ぎない自分は、
たった一滴の邪悪な雫に吸い込まれてしまうこともある…。
人間の弱さをつくづく感じ、ほんの些細なきっかけで
償いきれない過ちを犯してしまう怖ろしさにぞっとしました。

『邪魅の雫(じゃみのしずく)』を最初に読んだなら
(登場人物の設定が分からない、という点を除いても)
ファンにはなってないかもしれない、
でもここまで京極堂シリーズを読んだならやっぱり読みたい、
そんな1冊。

『邪魅の雫(じゃみのしずく)』で、今のところ出版されている
京極堂シリーズは読み終わってしまった…。寂しい。
次回作『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』、
いつ出てくれるか楽しみです。



『邪魅の雫(じゃみのしずく)』
「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」
「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」
「死んだのか」「-自首してください」
「死ねばお終いなのだ」
「ひとごろしは報いを受けねばならない」
昭和28年夏。江戸川、大磯、平塚と
次々に現われる毒殺死体。
警察も手を拱く中、あの男が登場する!
「邪なことをすると-死ぬよ」

参考:「BOOK」データベース

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