★4つ。

くもって蜘蛛かと思っていたら“雲”でした。
太陽の光をじゃまする毒の雲、
それは大切な恋人の
どうしても我慢できない嫌な部分。

11の短編の主人公たちはそれぞれ、
恋人の変な癖に悩まされています。
その癖に笑ってしまったり、
私ならこれは大丈夫、これは耐えられない、とか
あれこれ思いながら読んでいたけれど
考えてみたら自分だって
生活上の習慣というものはあるわけで、
それは他人から見たら
とってもヘンなものかもしれない。

角田光代さんの小説はいつだってリアル。
『太陽と毒ぐも』の登場人物たちも、
そのかっこ悪さが相当リアルです。
小さな小さなことの積み重ねでうまくいったり壊れたり、
本人にとっては深刻だけどハタから見てると
「ばっかじゃねえのこいつら」(あとがきより)
と思ってしまうことがいっぱい。

「…ハッピーエンドからだらだら続く
しあわせな恋人たちの日常を書いた」
(あとがきより)

ハッピーエンドの続きって、相当マヌケでかっこ悪い。
主人公たちもケンカしては仲直りしたり、
ダメになってしまったり。だけど、
「100パーセントぴったりの人」ではなくとも

「この男がいないとあたしの100パーセントは欠けるのだ」
(『100%』より)

世の中の恋人たちはそんなふうに思いつつ、
妥協したりされたりしながら
幸せになろうとしているのでしょう。
お互いの妙なクセに
なんとか折り合いをつけながら過ごしている、
すべての恋人たちが愛おしく思える短編集です。



『太陽と毒ぐも』
大好きなのに許せないことがある。
太陽の光が雲にさえぎられて届かないように―。

お風呂嫌いの彼女にいらつく男、
通販マニアの彼にうんざりしてゆく女、
どこか滑稽で不幸な、
でも実はどこにでもいる恋人たちを描いた、
ほろ苦くて愛おしい、11の恋愛物語。

参考:「BOOK」データベース

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