螢・納屋を焼く・その他の短編村上春樹

★5つ。

大評判の『1Q84』をまだ買ってすらいないのは、
買ってもどうせもったいなくってなかなか読めないからです。
その代わりと言ってはなんですが
久しぶりに読み返してみた『螢・納屋を焼く・その他の短編』。

どの短編も結末らしい結末はなく、
ある時間からある時間までに
起こったできごとや情景を
すとん、と切り抜いてそのまま書いている、という感じ。

結末のない不思議な短編を読むと
「この後はどうなったんだろう」
「この意味はなんだろう」
と気になることが多いのですが、
『螢・納屋を焼く・その他の短編』は
なぜかそれが無く、ただ余韻に浸るだけ。
この世界はこれで完結なのだ、という印象を受けるのです。
とは言っても『螢』は長編『ノルウェイの森』になるのだけれど、
淡い闇の中を螢がとびたつ、
そのシーンでこの『螢』という物語は完璧に完結している。
村上春樹さんの短編はいつもそんな印象で、
その分よけいに、
その世界から戻ってくることがなかなかできない。

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」
『螢』にあるその一節のように、
日常の中に不思議な世界が、
そっと存在しているような気がしてしまう。
部屋にかすかに漂う煙草の残り香のように。
間違いなく日常ではあるのだけれど
(その場所が奇妙な「象工場」であったとしても)
どこかがほんの少しずれている、
そんな空間に連れて行かれる感覚です。

村上春樹さんの小説はいつもそんな感覚で、
読み終わった後も何かと引きずってしまいます。
『1Q84』、楽しみだけどもったいない、
ハマってしまうのが分かっているから読むのが恐い…
いつ読むかまだ迷っています。



『螢・納屋を焼く・その他の短編』
彼女は時々僕の腕に体を寄せた。
でも、それだけだった。
彼女の求めているのは僕の腕ではなく、
誰かの腕だった。
僕の温もりではなく、誰かの温もりだった…。
もう戻っては来ないあの時の、
まなざし、語らい、想い、そして痛み。
リリックな7つの短編。

参考:「BOOK」データベース

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コメント
はまってしまうのが怖くて読めない。なかなかいえないせりふですね。読まないと言う選択しは個性があって素敵だと思います。
ランキングクリックしておきました。よかったらサイトに遊びにきてください。

>キノッピオさん
コメントありがとうございます!
好きな作家さんの新作は読んでしまうのがもったいないのですが、
最終的には必ず読んでしまってます(;^_^A

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