★4つ。

現実とは大きく離れた『十二国記』や『屍鬼』とはちがい、
行方不明になった人物を探す本格ミステリー…
という印象はそれほど無くて、
閉鎖的な島という異世界の怖ろしさ、
その印象のほうがずうううっと強い。
罪あるものに罰を与える“邪教”の神、
神の存在が生活に根付いている島民たち、
道具立ても起こる事件も怖ろしくて
ミステリーというよりホラーと呼ぶほうが相応しい気がします。

小野不由美さんの小説に感じる圧倒的な説得力が
『黒祠の島』では少し足りないような感想。
犯罪の実体を暴く謎解き要素とホラーな要素、
どちらも少し物足りなく感じてしまう。
小野不由美さんの小説は
思い切り日常からかけ離れた世界のほうが
むしろ説得力も、怖ろしさ悲しさも際立っていると思います。

それでも、全体の感想は面白かった、というか怖かった。
正体不明の“神”は無条件に怖くて、
こんな島にうっかり行ってしまったら…
と思うと背筋が寒くなる。
そして、人の心の怖ろしさ。
残虐な事件も“島のこと”として
片付けてしまおうとする人々や、
神のために尋常ではない生活を
送らざるを得なかった人の心の歪み。
「罪」と「罰」に対する、答えの出ない矛盾した葛藤…。
その辺りの迫ってくる描写は、
やっぱり小野不由美作品の迫力を感じました。

ラストの続きも気にかかる。
死んでしまった人の縁者にとって、
事件は決して終わっていない。
この後に何が起こるのか、
小説が1作できそうなくらいで
読み終わった後もつい引きずってしまいます。

少々物足りなさはあったけれど、
全体として迫り来る怖ろしさがありました。
でもやっぱり、『十二国記』の続きが読みたいぞー。



『黒祠の島(こくしのしま)』
「そう-ここは黒祠なのですよ」

近代国家が存在を許さなかった
“邪教”が伝わる、夜叉島。
式部剛(しきぶたける)は失踪した
葛木志保(かつらぎしほ)の姿を追い求め、
その地に足を踏み入れた。
惨事の名残を留める廃屋。
神域で磔にされていた女。
闇を統べるのは何者なのか?

参考:「BOOK」データベース

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コメント
黒祠の島(こくしのしま)

本の感想・レビュー記事へのコメント
こんにちは☆
小野不由美は読んだことないですね~。
でもミステリーもホラーも好きな私としては、かなり気になるところです…!
2009/07/08(Wed) 22:14 | URL  | みに #-[ 編集]
>みにさん
こんにちは!
小野不由美さんは世界観が緻密ですごいです。
長いけど『屍鬼』なんて本当に怖いですよ~。
筆がとっても遅い方なので、
ハマると続きが読みたくて困りますが…(;-_-) =3
2009/07/09(Thu) 17:20 | URL  | Run #-[ 編集]
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