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東京日記 卵一個ぶんのお祝い。川上弘美

★4つ。

最近ハマっている日記エッセイ、今度は川上弘美さん。
高山なおみさんの『日々ごはん〈1〉』に引き続き、
yom yom(ヨムヨム) 2009年10月号で見て興味が湧いた
『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』です。

日付は「一月某日」となっていて、1つの月にだいたい4日。
1日分はとても短いし、最初は少し物足りなく感じました。
いかにも“日記”という感じの『日々ごはん』に比べ、
『卵一個ぶんのお祝い。』では川上弘美さんがどんな人なのか
ぼんやりとした輪郭しかつかめないなあ、という感想で。

けれど、読んでいるうちにじわじわと
川上弘美さんの文章が沁みこんでいくような気がしました。
月の4日間が絡み合い、
同じ言葉が効果的に繰り返されたりして
ひと月分が短編小説のよう。

あとがきによると「五分の四はホント」だそうですが、
あまりにうまくまとめられているので
これって本当にホント?と思ってしまう。

駅から2分の待ち合わせ場所に行くために
迷わないよう地図とコンパスを持っていったが
途中で疲れて辿り着けなかったり、
駅弁2つを選びきれず両方買ったものの
どちらから食べるかでまた迷い
結局は食べることができなかったり…
起こる出来事もホント?と思ってしまうような
少しヘンなことが多い。
「からだ半分、ずれている。」と本の帯に書いてあったけれど、
川上弘美さんって、確かにちょっとズレてるかも。

でも多分、人はみんながどこかしらズレている。
ふつうは意識していない、
もしくは意識しすぎる、世間とのズレ。
川上弘美さんの場合、
自分がズレていると感じているのかいないのか。
ズレを冷静に見つめて淡々と書いている、という印象です。

ほのぼのしているようでいながら
時にシュールさや淋しさも感じられます。
門馬則雄さんの力が抜けた絵がピタリと合って、
なんとも個性的でハマってしまう日記です。

できごとを長々と書くのではなく
その日を感じさせるエッセンスをキュッと凝縮、
こんな日記もまた面白い。
川上弘美さんの小説も読んでみたい、と思う日記でした。



『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』
「本書は、本当日記です。
少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。」
おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。
からだ半分、ずれている。
雑誌『東京人』に連載された
『東京日記』の単行本化。
現在、ウェブ平凡で連載中です。

参考:「BOOK」データベース /
出版社・著者からの内容紹介

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