この本が、世界に存在することに

★4つ。

本が好きな人にとって、本って特別なもの。
『この本が、世界に存在することに』
本がある人生の断片を描いた短編集。
角田光代さんにとって、本って特別なものだったんだ、
ということが伝わってきます。

行間がとても広かったり、余白がたっぷり取ってあったりと
話ごとに文字の配列がちがっていて、
同じ本の中でもちがう世界感がある、という感想です。

印象的だったのは、旅先の古本屋で
自分が売った本と出会う「旅する本」。
実際にそんな経験は無いけれど、
同じ本を数年たって読み返した時の感覚がとてもリアル。
ほかの話も、本に対する思い入れがそれぞれ感じられます。

「あとがきエッセイ 交際履歴」に書かれていた、
「本と人との関係は“個人的な交際”」という
角田光代さんの言葉に共感。
大好きな本って、自分の芯の部分まで刺さってきて
思いがけない感情を引き出してくれることがある。
万人に読まれる本であるのに、
自分だけの特別なものである、という不思議な感覚を
本が好きな人って多かれ少なかれ抱いてるのではないかなあ。

『この本が、世界に存在することに』を読んでいると
本とは楽しみを与えてくれる存在であるだけではなく、
人生を変えてしまうことすらある、と改めて思います。
本が好きなら、どこか深く頷ける箇所がある、そんな本です。 



『この本が、世界に存在することに』
本への愛情をこめて角田光代が描く新境地。
泣きたくなるほどいとおしい、
ふつうの人々の“本をめぐる物語”が
あなたをやさしく包みます。
心にしみいる9つの短編を収録。

参考:「BOOK」データベース
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