★3つ。

表紙の絵や帯の言葉から
ふんわりほのぼのしたイメージで読み始めたら、
最初からちょっと暗くて緊張感溢れる雰囲気で
ちょっと予想外、という感想。
でも、千年の森で起こるできごとやそこに息づくものたちの
不思議な怖さ、美しさに
いつの間にかもっと見ていたいような気持ちになっていきました。

キャシー アッペルトさんの『千年の森をこえて』に登場するのは、
愛を知っている、犬と猫たち。
愛を歪めてしまった、古くから生き続ける魔物。
そして、愛を知らない、知ろうともしない人間。

魔物と人間は、ある意味では対照的。
どちらも罪深い存在ではあるのだけれど、
魔物は歪んだ愛ゆえに罪を犯し、
人間は愛を知らないがゆえに罪を重ねた。

千年かけて歪みに気づいた魔物に
最後には、よかったね、と言いたくなる。
しかし愛を知らない人間は
私にはただただ恐ろしい存在で、
魔物よりよっぽど「魔」そのものだった。

他者への歪んだ愛と、
他者へ対する愛の無さは、
どちらも怖ろしいできごとを引き起こす。
本当に救いが無いのはどちらなのか。

『千年の森をこえて』の中では
前者が救われ、愛を知る者に幸せが訪れる。
けれど現実においては、
人は歪みに気づき正すために
千年の時間を使うことはできないことを考えると、
やはりどちらも怖ろしい、と言わざるを得ない。

この物語の結末はホッとする、幸せを感じさせるもの。
けれど後からじわじわと、
「愛」の持つ重さについて
考えさせられてしまう物語でした。



『千年の森をこえて』
サビーン川上流の鬱蒼とした森に
1匹の捨てネコが迷いこみ、
千年に渡る不思議な物語は動き始めた。
現在、25年前、そして千年前。
ネイティブ・アメリカンの神話息づく
太古の森を舞台にくりひろげられる不思議な物語。
2009年ニューベリー賞銀賞受賞作。

参考:「BOOK」データベース

 
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