★4つ。

とある町の人々を主人公とした連作短編集。
あるお話の登場人物がちがう話でも登場したり、
少しずつ繋がっていて
なるほど、ちがう角度から見るとこうなるのか…
と興味をそそられる。

『どこから行っても遠い町』の主人公たちはみな、平凡だ。
ごく普通に、当たり前に日々を生きているだけ…なんだけど、
他人から見るとちょっと不思議な秘密を抱えているように思える。
けれど本人にとっては
気が付いたらこうなっていた、という自然な姿で。
そんな人間の不思議さは
この物語の中だけのことではないかもしれない。
みんな平凡で、特別な人なんていなくて、
ちょっとだけ人とちがうところもあって、
それでもやっぱり平凡で。

そしてそんな彼らの、私たちの平凡さは、実はとても淡くて儚い。
普通の毎日なんてちょっとしたことで変わってしまう可能性がある、
それを薄々知っていながらも日々暮らしている、
「平凡な毎日」というものの儚さ。
最後の「ゆるく巻くかたつむりの殻」で
特にそういう印象が残ったのかもしれないけれど、
どのお話が、というよりも全体として
普通であることの儚さを感じる短編集、という感想でした。
主人公としては出てこない、
バケツでいつも何かを洗っている茅子さんと
たこ焼き屋さんなのにお酒も飲める「ロマン」で働く
森園あけみさんがとっても気になります。



『どこから行っても遠い町』

捨てたものではなかったです、あたしの人生―。
それぞれの人生はゆるくつながり、
わずかにかたちをかえながら、
ふたたび続いていく。
平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す
連作短篇小説。

参考:「BOOK」データベース

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