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神様川上弘美

★4つ。

9つの短編が入った川上弘美さんの『神様』。
そのお話はどれも、ちょっぴりヘンなものがごく普通に、
日常の延長として淡々と受け入れられている不思議世界、という感想。

川上弘美さんのほかの小説にも感じられる
この何でも静かに受け入れていく感じ、
それまで自分の周りにあるものとは少しちがっていても
自身の一部としてさりげなくしっかりと受け止める感じ、好きだ。

考えてみれば、私が本を読む理由は
そこにあるのかもしれない。
小説の中では現実と少しちがうことが起こって欲しい、
そしてそのことがまるで自分自身に
明日にも起こるような気分にさせて欲しい、と思っている。
それこそが私にとって本を読む醍醐味なのだ、と思う。

『神様』ではたとえば
くまとか、壺の中に住む女性とか、くっきりした形を持つ非日常が
日常のような顔をしてさりげなく生活に入ってくる。

うちの近所にも料理の上手なくまさんが
普通に暮らしているんじゃないか、という気がしてきて、
それがなんだかじんわりと心地いいのだ。

1番印象深いのは「離さない」。
とても静かで、相当怖い。
自分に同じことがあったら、危険と分かっていても抗えないだろう。
そしてちょっぴり、同じ出来事を味わってみたい、とも思ってしまう。
「春立つ」も気になる話。
年を取ったことでちがう関わり方ができる、ということは、
切ないようで、希望でもある。

最初の「神様」は近くに越してきたくまさんとの交流。
するっと入ってくる優しい非日常が心地よかったのに
最後の「草上の昼食」でまたするっと去ってしまって、かなり切ない。

川上弘美さん、『七夜物語』のラストがちょっと自分には悲しすぎて
しばらく読んでいなかったのだけど、
『神様』で感じたこの非日常感をもっともっと味わいたい。
ほかの作品も色々読みたい、と改めて思いました。




『神様』
不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。
心がぽかぽかとあたたまり、
なぜだか少し泣けてくる、
うららでせつない9つの物語。
ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

参考:「BOOK」データベース
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