★4つ。

万城目学さん、ホルモーシリーズの舞台は京都でしたが、
『鹿男あをによし』の舞台は奈良。
読んでみると同じ古都でも、京都より少し骨太なイメージでした。
小説全体に古代を偲ばせる雰囲気が漂っていて、
鹿が話すのも有り得ることだ、と思ってしまう。
奈良の歴史がうまく組み込まれ、同時に青春小説の爽やかさもあり。

スケールはかなり大きく、
書きようによっては大活劇になりそうなのに
ヒーローのはずの“先生”が完全に振り回されている。
その独特な脱力感が、気負わず楽しく読めてなんとも好きです。

『鹿男あをによし』は登場人物も魅力的。
望んでいないのに選ばれてしまった先生、
ちょっと抜けてるし人付き合いがヘタみたいだし、
イマイチ冴えないけど憎めない。
そして“先生”の生徒である堀田イト、
女子高生の微妙に動く心理が嫌味なく書かれていて、
初めはちょっと憎たらしいけど最後にはかわいく思えます。
後から彼女の気持ちを考えると、ちょっと切ない。

ラストは古典的で展開が読めたけど、
古代の雰囲気漂う『鹿男あをによし』に
よく似合っていると思いました。
とてもすっきりと気持ちよく、少し切なさも漂うラスト。

文字にしないと自分達にとって大切なことも
すっかり忘れて好き勝手やってしまう人間、
昔々の約束をずっと果たし続けている鹿。
人間なんか見下している鹿、
けれど最後には心が少し分かってぐっと来ました。

ところで先日、動物園に行きました。
雌鹿が近寄ってきたので、なんか話すかとドキドキしました。
鹿の前では油断しちゃいけません。 



『鹿男あをによし』
大学院の研究生活から一転、
2学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。
生徒との接し方に悩む彼に、
指令を下したのは美しい雌鹿。
「さあ、神無月だ-出番だよ、先生」。

参考:出版社 / 著者からの内容紹介

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コメント
鹿男あをによし

本の感想・レビュー記事へのコメント
私はこの本を読んだあと奈良へ旅行に行きました。よっぽどポッキーを差し出そうかと思いましたが、勇気が出ずに辞めました。
奈良の鹿はのほほんとしているようでしたが、油断はできませんでした。

「鹿男」の先生も、「ホルモー」の安倍くんもちょっと頼りないところは共通してますね。
2009/02/16(Mon) 23:16 | URL  | 日月 #ffVU29mw[ 編集]
>日月さん
この本を読んだ後に鹿に会うと、ドキドキしますよね!
しかも奈良…油断はまったくできません。
でも、ホントにポッキー食べるのかな?

万城目さんの本は、男性はちょっと頼りなくて優しい、
女の子はちょっとヒネてるけど本当はかわいい、
ってところが共通しているように思えます。
早く次の本を読みたいですね(*^-^)
2009/02/17(Tue) 23:40 | URL  | Run #-[ 編集]
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