百器徒然袋―雨(ひゃっきつれづれぶくろ あめ)京極夏彦

★3つ。

優秀な学歴、由緒ある家柄、誰もが見惚れる美貌。
それらを補ってあまりある傍若無人っぷりと不可解な能力で、
京極堂シリーズの中でも殊に強烈なインパクトを放つ
榎木津礼二郎が大暴れする短編集。

人間の悲しい暗さが全面的に描かれている本編とは違い、
むちゃくちゃな榎木津と振り回される「下僕」たちが笑いを誘う。
そしてめちゃくちゃやっているのに悪は滅びて善(つまり榎木津)が栄える、
ちょっとひねくれた勧善懲悪が痛快に感じます。

京極堂が嫌々引っ張り出されている風情を装いながらも
ノリノリのように思えるところも面白い。
意外と京極堂も悪ノリするのねー、って新鮮でした。
「憑き物落とし」をしたらしい箇所もあるけど
はっきり書かれていないので、
何があったんだろうと想像するのも本編とは違った楽しみ方。
実はこの描かれてない箇所に
どろどろとした人間の情念が存在しているのだろうなあ。

この本で初めて登場した語り手、「僕」がヘンな人物。
誰からも本名を呼んでもらえず、
理由が分からないまま榎木津に従ってしまう。
関口のことを「ああはなりたくない」と言っているけど、
榎木津も京極堂も、関口に対しては友情も感じられないことは無い。
自分のほうがよっぽど振り回されているんじゃ?
その悲惨さがよけいに笑いを誘って、
関口が語り手の時とはやっぱり違う印象です。

とにかく榎木津が大活躍?の
『百器徒然袋―雨(ひゃっきつれづれぶくろ あめ)』。
京極堂シリーズ本編とはずいぶん違うけど、
軽くて笑える雰囲気で面白かった。
榎木津礼二郎ファンなら文句なしに楽しめます。

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「推理はしないんです。彼は」。
知人・大河内の奇妙な言葉にひかれて
薔薇十字探偵社を訪れた「僕」。
気がつけば依頼人の自分まで
「名探偵」榎木津礼二郎の
「下僕」となっていた…。
京極堂をも巻き込んで展開する
ハチャメチャな妖怪3篇。

参考:「BOOK」データベース
『百器徒然袋―雨(ひゃっきつれづれぶくろ あめ)』
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