2008年12月31日 (水)
★4つ。

気づけば今年も大晦日となりました。
ご訪問やコメントを下さった方々、誠にありがとうございました。

さて今年最後の更新は、
久しぶりに読んだ宮部みゆきさんの現代ミステリー。
「誰か」の続編であることを知らずに読んでしまったけど、
独立した話になっているので問題は無し。

「火車」「模倣犯」などの圧倒的な迫力を予想していたら、
意外にもあっさり読めてしまいました。
主人公・杉村三郎が事件に“巻き込まれた”形で、
大変な目には合うけれど
事件とは他人、という印象があるからでしょうか。
少し物足りなさも感じたけど、
宮部みゆきさんはわざとそういう人物を主人公にして
事件を少し離れた視点から見る物語を書きたかったのかなあ、
という気もします。

迫力はちょっと不足だけど、
人の心に潜む“毒”の怖ろしさがじわじわ感じられます。
辛い環境を改善できない自身の無力さ、
“自分だけが辛い”という思いは
心の中に積もり、腐って、身を蝕む毒となってしまう。

毒に冒され、過ちを犯してしまった人は悲しい。
だけど過ちに気づいた人はまだよくて、
自分が毒に蝕まれていることに気づいてすらいない人は
反省もできず、どこへも行けない。
自分の中の毒からは目を背けてしまいがちだけど、
時にしっかり見つめないと
毒が全身に回ってしまいかねない、という
うすら寒いような恐怖。

事件は一応解決し、読後感は爽やかではあるけれど
切なさ、もの悲しさが付きまといます。
「火車」などの迫力のほうが好みだけど
毒の怖さが生々しくて、
「名もなき毒」はさらっと読めるけど
実は怖い話かもしれません。

さて、来年も読書感想を綴って参りたい所存です。
よろしければ来年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
どうぞよいお年をお迎え下さいませ。

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どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。
それが生きることだ。

財閥企業で社内報を編集する杉村三郎が
ある理由で訪れた私立探偵・
北見のもとで出会ったのは、
連続無差別毒殺事件で
祖父を亡くしたという女子高生だった。

参考: 「BOOK」データベース『名もなき毒』
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