新釈 走れメロス 他四篇

★4つ。

山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語。
『新釈 走れメロス 他四篇』は日本文学史上に残る傑作を原作として
舞台は現代の京都、登場人物は大学生。
森見登美彦さん流に描かれています。

表題作「走れメロス」、感想を一言で言うと

なんじゃこりゃ。

こんなに笑える話になるなんて!
スピード感は原作のまま、だけど大真面目に
ばかばかしいことを実行する登場人物たちに
思わず笑ってしまう面白みは
完全に森見登美彦さんの世界。

かと思うと、うまく行っているように見えて
次第に絶望へと陥っていく
「桜の森の満開の下」の悲しさ、
同じ出来事が見る人によって食い違ってしまう
「藪の中」の不思議さ、
それぞれがまったく違ったテイストで実に見事。

登場人物がリンクしたりと、
5つの話につながりがあるのも興味深い。
それも原作を十分に踏まえたうえなのだから
まったく舌を巻いてしまう。

この本だけでも楽しめるけど、原作を知っていれば面白さ倍増。
読んでないものがあれば青空文庫でどうぞ。

原作があるからこそ広がる森見登美彦さんの世界をより堪能できます。



『新釈 走れメロス 他四篇』
あの名作が、京の都に甦る!?
暴走する恋と友情-
若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!
異様なテンションで京都の街を突っ走る
表題作をはじめ、
先達への敬意が切なさと笑いをさそう、
5つの傑作短編。

参考:セブンアンドワイ



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四畳半神話大系

★5つ。

4つの短編、
なんだけど2話目を読み出してとまどった。
どうやら主人公は1話目と同じ人、
だけどちょっとおかしな部分があるよ?
森見登美彦さんの『四畳半神話大系』
4つの話はどうやら4つの平行世界で起きていることのよう。
同じ部屋に住む同じ人、
ちょっとした選択で運命がどう変わるのか。

『太陽の塔』と同じように、格調高い文章で語られるしょーもない思考。
大真面目な主人公と
ばかばかしい出来事のギャップに笑ってしまいます。

登場人物も相変わらず一癖ある人ばかり、
近くにいたらちょっと困るけど
なんだかとっても愛おしい。

4つの話の中に同じ文章が何度も出てくるので、
そのへんはちょっと飽きちゃうかも。
けれど、どこが同じでどこが違うのか、
話が上手くできているので興味深くてぐいぐい読めます。

「あの時、こうしていれば…」なんて幻想を抱きがちだけど、
結局は同じ人間、たいして変わらない人生なのかも。

だとすると、今ここにある人生を楽しんだほうがずっと得。
本人にとっては悲劇でも、
傍から見ると喜劇でしかなかったりして。

そんな風に自分を客観的に見て、笑っちゃったほうが人生楽しいや、
と読み終わってちょっと肩の力が抜けました。



『四畳半神話大系』
大学3回生の春までの2年間を思い返してみて、
実益のあることなど
何一つしていないことを断言しておこう-。
この見るに堪えない状況は、
どこまで遡れば取り返せるのか。
京都の街の四畳半、大学生の奇妙な生活。

参考:「MARC」データベース


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きつねのはなし

★4つ。

森見登美彦さんの作品でも、
格調高さに笑えてしまう『太陽の塔』とは全然違う。
しんとした描写が続き、
奇妙だけど美しく、少し怖い。

『きつねのはなし』は、最後まで読んでも不思議なまま。
何が起こったのか種明かしされることはなく、
そういう不思議もこの世にはあるのかもしれない…という
背筋がぞくっとする感覚が残ります。

4つの物語はリンクしているようでいて矛盾した点が多くあり、
日常→ 第1の物語→ 第2の物語… というふうに
少しずつずれた場所に連れていかれる感覚。

怖くて眠れない、というホラーではなく
いつもの暮らしのすぐそばに奇妙な世界への入り口が
ぽっかりと開いているのでは、という緩やかな恐怖。

古の都・京都の趣に、
登場する不思議なものたちは
昔々から京都に潜んでいたのだろうか、という気にさせられる。

読み終わっても謎は謎のままで、
スッキリとはいかないので好みが分かれるかも。
答えの無い緩い恐怖、私は好きです。



『きつねのはなし』
京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。
細長い座敷に棲む狐面の男。
仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。
私が差し出したものは、そして失ったものは、
あれは何だったのか。
妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。

参考:「BOOK」データベース


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太陽の塔

★4つ。

古風で妙に格調高い言い回しで語られる森本の独白。
行動はほとんどストーカーなのに
あくまで「研究」と言い張り、
鴨川に並ぶカップルや世間の「クリスマスファシズム」を憎悪し、
自らを世間一般とは違う孤高の存在と考えながらも
ごく当たり前の幸せに憧れる自分にも本当は気付いている…

森見登美彦さんの『太陽の塔』
主人公の森本は傍から見てるととにかく変人、
大真面目ゆえに情けなくて滑稽。
初めは“なんか、ちょっとキモチワルイ人”と思っていたら
その常識とのズレっぷりがだんだん笑えてきて、
しまいにはかわいく見えてくる。

森本の友人たちも、つきまとわれる女子大生すら強烈で個性的、
「普通の人」は1人もいないってくらい変人だらけ。

全体的には笑えるんだけど、
唐突にしんとした描写が現われる。
日常から非日常の世界に足を踏み入れたかのような奇妙な感覚。

読了後にはほんのりとした暖かみ、
作者の登場人物への愛情が感じられました。
“ゴ**リキューブの描写だけは読むのが辛かったけども!
実在しないことをただ祈ります。

読書中も読了後も、こんな小説は読んだことがない、という印象。
主人公が見ている世界は少し歪んでいて、
自分もその歪んだ世界に連れて行かれたような。

古風だけど独特のテンポがある文体と
変だけど可愛げのある登場人物たち、
なんだか妙に癖になってしまいました。



『太陽の塔』
何かしらの点で彼らは根本的に間違っている。
なぜなら私が間違っているはずがないからだ-。
京大5回生の森本は「研究」と称して
自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。
男臭い妄想の世界に
どっぷりとつかった学生の夢想。
第15回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。

参考:「BOOK」データベース / Amazon


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